アクリル画の保存方法を支持体ごとに解説|キャンバス・紙・パネル

この記事では、アクリル画の基本的な保存方法をキャンバス、紙、パネル、
それぞれの支持体ごとに気をつけるポイントをまとめてお伝えします。

画材や絵のことはわかってきたけど、出来上がった作品はどうやって保管するといいんだ…?
意外と保存の仕方って教えてもらわないことが多いですよね。
せっかく描いた絵でも、適さない環境で保管しておくと
悲しいことになってしまいます…。
ぜひ、作品たちにとって適した保存法を身につけましょう。

こんにちは。絵描きの朝日 辿(あさひ たどる)です。
デザイン大学で学び、卒業後アクリル画を専門に絵を描いています。

2025年 「魂ふたつ」

このサイトはアクリル絵の具を使った絵の描き方や、画材の使い方などを
初心者の方にもわかりやすく、ゆる~く紹介していくサイトです。

 

 

アクリル画を保存する際の注意点(支持体共通)

まず、どの支持体でも(アクリル画に限らず)気をつけるべき点
作品を保存する上で基本となる以下の3つを解説します。

①直射日光を避ける
②温度と湿度
③画面どうしをくっつけない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

直射日光を避ける

直射日光が長時間(長期間)当たり続けると、
色褪せたり変色(絵の具や紙が)する可能性があります。
アクリル絵の具は多少光が当たったくらいでは変色はしませんが
(※色によっては褪色しやすさに少し差はあるみたいです)
できるだけ日光が当たらない場所で保管・展示するのが望ましいです。
UVカットのニスもあるので、心配な方はそれも使ってみるといいかもしれません。
リキテックスのニスだと、マット・光沢・半光沢など種類が多いのでおすすめです。

 

温度・湿度

だいたい温度は18〜24℃、湿度は40〜60%が適切だとされています。
とはいえ、家庭での温湿度管理はなかなか難しいと思いますし、
自分も正直そこまでしっかりとは見てないです。
アクリル絵の具は、よく見るメーカーさんのものなら、
基本的にカビが発生したり変色したりすることは起きにくいですが
最低限の対策は、やはりした方がいいですね。
「寒過ぎない」・「暑過ぎない」・「乾燥し過ぎない」・「ジメジメし過ぎない」
を意識できていれば、正直そこまで傷むことはないと思います。
ちなみに4℃以下になると接着力が弱くなると言われます。
寒冷地の皆さん注意。

TADORU
「過ぎる」は生きづらい。生き物と一緒だね。やさしく扱おう。

画面同士をくっつけて放置しない

画面どうしがくっついた状態のまま長時間置いておくと
 絵の具が癒着して剥がせなくなってしまう ことがあります。
これは「乾いた状態であっても」です。
これは中に含まれている樹脂の性質による物なんですが、

輪ゴムを何本かまとめて放置していたら溶けたみたいに固まっちゃってた!
ってことありませんか?あんな感じです。

けど、重ねておかないと保管するスペースなんてないよ!ということも多いかと思います。
もし作品を重ねて保管する際は、画面の間に保護紙を挟みましょう。
専用の保護紙でなくても、スーパーとかで買えるクッキングシートとか(できれば無地の)
シリコン加工されている紙を挟んでもいいです
大きい作品の保護に使いたい場合は、やはり専用の保護紙がおすすめです。

おすすめの保護紙→ホルベイン 画面粘着防止用保護紙 クッツカーネ

 

つづいて、支持体ごとに気をつけるといいポイントを見ていきましょう。

 

アクリル画の保存方法|キャンバス・紙・パネル それぞれの注意点

ここまで、どの支持体に描いた場合でも共通する注意ポイントを紹介しました。
ここからは、そこに加えてキャンバス・紙・パネル(木製)それぞれの場合に
気をつけるといいポイントを解説していきます。

 

アクリル画の保存方法【キャンバス】

キャンバスのメイン材料は布と木です。
どちらも湿度で少し伸縮する性質がありますので、湿度は気をつけてあげましょう。

基本はそのまま保存する人がほとんどかと思いますが、もし木枠から外してキャンバス布を
丸めてしまっておきたい場合は、 絵が描かれている面を外側にして 丸めます。
内側にして丸めると、絵の具がひび割れた時に割れたところどうしがぶつかって
欠けてしまったり、剥離が起きたりします。
丸めるときは 完全に乾いている状態が前提です! 

また、絵の表面に保護紙を当てて巻き込むとさらに安心です。

 

アクリル画の保存方法【紙】

紙の場合は、先に書いた3点の注意ポイントに加えて、特に 「虫」に注意 です。
紙を食べる虫がつくことがあるので、定期的に確認してあげましょう。
代表的なのだと紙魚(シミ)という虫ですね。

ホコリを被ったりすると、カビも生えやすくなるので清潔に。
紙は特に、破れたり折れたり、比較的カビたりしやすい繊細な支持体ですので、
額装した状態で保存してしまうのも1つの手だと思います。

パネル張りした状態で保存する場合は、紙1枚のままよりは管理しやすいかもしれませんが
パネルも木製ですので、湿度によって伸縮はします。

「やっぱりスペース的に、木製パネルから剥がして紙1枚の状態で保管したい」
「でも破れたり黄ばんだりするのが心配」
という人は、 中性紙でできた保存封筒や箱に入れておく という方法もあります。

〈中性紙〉
……酸性の物質を含まず中性〜アルカリ性に調節されて作られた紙のこと。
コピー用紙など身近な紙は大体が酸性紙です。
中性紙は酸性紙よりも黄ばみづらく、約36倍長持ちすると言われています。

額や中性紙で保管する場合も、直射日光、多湿には注意です
風通しの良い暗めのところで保管しましょう。

 

アクリル画の保存方法【パネル】

木製パネルは他の2つに比べてとても丈夫です。
自分はパネルに直接描く派なのですが、よほどの衝撃を加えないと
割れたりすることはありません。

うっかり階段で落とした時はさすがに角が大破しました…笑

こちらも基本は先に書いた3点のポイントを注意して保管しましょう。
他の支持体に比べると重くてかさばるので、やはり重ねた状態で置くことが多いかと思います。
自分は普段、クッキングペーパーやワックスペーパーで包んでいます。

もう1つ挙げるなら、紙と同じで虫に注意です。
絵の具を塗った面は大丈夫だと思うんですが、何も塗ってない裏面を確認してあげてください。

TADORU
以前、買い溜めて放置していたパネルから大量に虫が発生して悲鳴を上げた苦い思い出があるので
皆さんはぜひ対策してください…

また、事前に裏面にもアク止め用の塗料を塗っておくことで、湿気やアクを防ぎ
虫がつきやすい環境を作らないのも対策になります。

アク止めに関して知りたい方はこちらもどうぞ↓

【初心者向け】アクリル画の下地の作り方!ジェッソと水張りを解説

 

アクリル画作品どうしがくっついちゃった時はどうしたらいい?

「絵と絵がくっついちゃった…!どうしよう!」

この場合、残念ですが剥がすのはほぼ不可能です。
自分はこの経験がないのでどれくらい困難なのかわからないのですが
人から聞いた話では、「ほんとムリ。笑」だそうです。
本当にこれはもう気をつけるしかないです…。
ただ、無理だというのを分かった上で、
「剥がしたい。」

そう決めたら、一旦落ち着きましょう。
絶対に無理やり引っ張りません。

正直、自分もやったことがないので絶対大丈夫とは言えません。ごめんなさい。
それでもよかったら、次の方法を試してみてください。
⚫︎ドライヤーで温めて、慎重に剥がす。
⚫︎お湯(50℃くらい)につけて、ふやかして慎重に剥がす。
…すると、少し絵の具が柔らかくなることがある、と言われています。

これでダメだったら、あきらめましょう…。
もし他に何か方法を知っている人がいたらぜひ教えてください。

 

アクリルガッシュで描いた絵の保存について

ここからは、「私はアクリルガッシュは使わないよ〜」って方は
飛ばしてもらっても大丈夫です。
普段アクリルガッシュを使う筆者の主観もちょっと多めに入ります。
保存に関しての考え方というか、思うことを書いてみます。
ふーん、そういう考え方もあるのね〜という感じで読んでもらえたらと思います。

アクリルガッシュを使っていると、「保存」という面で不安にな人がいるかもしれません。
というのは、「ガッシュは長期保存に向かない」「ガッシュで絵画はおすすめしない」
という言葉がよく聞こえてくるからです。
確かに、アクリルガッシュは水彩などの他の絵の具に比べると
劣化が起きやすいと言われています。
主には色褪せやひび割れなどですね。

ただ、アクリルガッシュは薄塗りであれば基本ひび割れることはありません
厚塗りしたい時はメディウムを混ぜたり、工夫が必要になります。
それも絶対大丈夫なわけではないんですけどね。

けど、自分はやはりアクリルガッシュのマットで落ち着いた質感が好きで、
自分がようやく辿り着いた自分の世界観を作るためには、
ガッシュ以外の絵の具を使うことは難しいと、今は考えています。
作品によっては艶感をできるだけ避けたいので、あえてニスを塗らないこともあります。

そして、「長期保存に向かない」という、この「長期」がどれくらいの年月を指すのか
分かりませんが、今ある製品であればある程度の耐久性はあると思います。
ちなみに、自分が10年ほど前にアクリルガッシュで描いた絵はニスも塗っていませんが
そのままの状態で残っています。
20年、30年…と同じ状態を保てるかは正直環境にもよるし、
毎日眺めているわけでないので分かりません。

けれど、自分は絵はそもそもいづれ劣化するものと思っています。
紙や木、自然物からできたものに描いている以上、それは避けようがないし
それが自然なことだという自分の考えもあるので、
正直、自分はとっても真面目に保存について考えているわけではありません。
変化していくこと、劣化していくこと、それも作品のひとつのあり方かな
という個人的な考えです。

もちろん、場合によっては額装もするしニスも塗ります。
人の手に渡ったり、さまざまなケースがありますのでね。
今後、絵の具という画材を使い続けるかどうかも含めて、
その時々の自分の表現したいものを最優先で「保存」というものを考えていきたいです。

だからもし、アクリルガッシュで絵を描きたい人が
いろいろと調べていく中で不安になることがあったら、ぜひ自分なりに調べあげた上で
何を1番大事に作品作りをしたいか、考えてみるのも良いかもしれません。
そして、こんな考え方もあるんだなぁと思い出してもらえたら嬉しいです。

長くなってしまいました、まとめに行きましょう

 

まとめ

アクリル画を保存するときは…

⚫︎直射日光を避ける。UVカットのニスを塗るのもおすすめ。
⚫︎温度と湿度に気をつける
⚫︎画面どうしをくっつけない(絶対!)

上の3点を基本として、
【キャンバスの場合】…キャンバス布を丸めて保存する時は、 絵の面を外側に 

【紙の場合】…虫・カビに注意。繊細な支持体なので額装で、保存用の封筒や箱での保管も◎

【パネルの場合】…強い衝撃・虫に注意。虫はアク止め剤を塗ると対策になる。

 

この記事を訪れてくれた皆さんにとって少しでも役立つ情報があれば幸いです。
それではまた別の記事で。