【初心者向け】アクリル絵の具の塗り方3つ|ムラ対策のコツも紹介

 【この記事の結論】 

アクリル絵の具は『水多め=水彩風』『水少なめ=ベタ塗り』『ほぼ水無し=油絵風』
この3つを押さえれば、初心者でも一気に表現の幅が広がります。

絵って「描き方」「絵の具の使い方」という
絶対的で明確なルールはほぼ無いんですね。
特にアクリル絵の具は幅広い表現ができる絵の具です。
その使い方も、描く人の数だけあると言えると思います。
それゆえに個性を出しやすい画材とも言えますね。
逆に言えば、何通りもの使い方があるからこそ、最初は調べれば調べるほど
分からなくなる人もいるかもしれません。

今回は、そんな人に向けて 「基本塗り方3つ」を、アクリル絵の具の特徴と合わせて解説  します。

 

こんにちは。絵描きの朝日 辿(あさひ たどる)です。
デザイン大学で学び、卒業後アクリル画を専門に絵を描いています。

2025年 「魂ふたつ」

このサイトはアクリル絵の具を使った絵の描き方や、画材の使い方などを
初心者の方にもわかりやすく、ゆる~く紹介していくサイトです。

 

アクリル絵の具の特徴

そもそもアクリル絵の具ってどんなもの?

顔料+アクリル樹脂+水→アクリル絵の具
                      ↓
        プラスチックの一部

ここに、天然の樹脂や膠(にかわ)を使っているのが油絵の具や日本画の絵の具。

【主な特徴】
 乾くのが速い。 

キャンバスや紙以外の支持体に描いたとしても、水彩絵の具と同じくらい、
あるいはそれより速く乾きます。

 作れる表現・作風の幅広さ。 
水分量を調節したり、メディウムを混ぜたりすることで水彩風にもなるし、油彩風にもなります。

 様々な支持体に描ける。 
表面が油性のもの以外は何でも大丈夫。布、木材、ガラスなども。

 乾くと耐水性になる。 
チューブから出してすぐはもちろん水に溶けますが、一度乾くと溶けません。
水彩だと、せっかく描いた絵も濡れると消えてしまうことがありますが、
アクリルはその心配がありません。

 耐久性 
重ね塗りをして層を重ねると、耐久性が増して衝撃に強くなります。

これらの特徴を活かすことで、様々な作風を生み出せます。
特徴を頭で理解できたら(なんとなくでOKですよ)
今度はこの絵の具の特性を実際に体感して知っていきましょう。

 

アクリル絵の具の塗り方〈水彩風〉

まず用意するもの

・絵の具
・パレット
・筆(丸筆・平筆どちらでも試してみましょう)
・画用紙(今回は水彩画風〜油絵風を紹介するので画用紙を使います)
・筆洗(水)

※このあと解説する他の塗り方でも、用意するものは基本同じです

 

水彩風のキーワードは「水多め」

パレットに絵の具を出す。場所はどこでもいいけど、端っこが望ましいです。
最初に絵の具を出した場所は、その色の住所
それ以外の場所は混色のためのスペースを広めに取っておいてあげるイメージで。

筆で絵の具を少しすくって、空いているスペースに乗せる。そこに水を足してあげます。
水は筆にたっぷり含ませて、大胆に足しちゃいましょう。
そうすると、水彩らしい滲みやぼかしが生まれます。


先に紙を少し濡らしておくと、さらに水彩らしい表現がやりやすいです。
(ウェットインウェットと呼ばれる技法です)

慣れてきたら、次のステップ↓

慣れてきたら混色してみよう

もう1つ別の色をここに重ねてみましょう。
①パレットの上で色を混ぜてから画用紙へ
②最初に画用紙に塗った色の上に、直接別の色を置く

②は、画用紙の上でどんどん色が混ざって広がっていく様子が見られて楽しいですよ。
子供向けのワークショップでこれをやったことがあるのですが、
大人も子どもも、みなさん夢中になって色を広げていました。
ぜひやってみてください〜

 

ポイント
水彩風に限ったことではないですが、混ぜる水はいつもクリアな状態で。
透明度を生かしたこの方法では、とくに意識したいところです。
混色するときに、水が濁っていないか?筆は汚れていないか?
気にしてみましょう。

 

アクリル絵の具の塗り方〈べた塗り〉

フラットなイラストレーションのような作品でよく使われます。
先ほどの水彩風のときよりも、「絵の具は少し多め」「水は少なめ」を意識すると
やりやすいと思います◎

べた塗りのキーワードは「均一」

水彩と同じようにパレットに絵の具を出します。
この塗り方は水彩風よりも、使う絵の具の量が多いので、多めに出します。

水の量も、水彩に比べて絵の具に対して混ぜる量が少ないので、
さっきよりも少しずつ、筆で足していきましょう。
「しっかり混ぜる」のもムラなく塗るコツです。
水っぽいところと絵の具が濃いところがまだらにある状態だと
塗った時にムラになりやすいです。

ポイント
べた塗りは、なるべく1回の塗りで仕上げるつもり(気持ちはね!)で行うので、
筆を動かす方向を常に同じにするときれいに均一に塗れます。

 

楽しみながらできる練習をしてみよう

もし、イラストレーションのようなフラットな絵を描こうと思っている人は
このべた塗りで「色面を塗る練習」をしてもいいかもしれません。
例えば、自分で好きな形を紙に描いてその内側を、はみ出ないように均一に塗る。
○でも△でも☆でも、なんでもいいです。
大きい色面、小さい色面、いろいろな大きさや形を塗ってみましょう。
くり返すうちに、ちょうどいい水の量や、筆を動かす速さなどが分かってくると思います。

ここからは補足として。
同じ色で色面を塗る時は、すぐ塗れる状態にした絵の具をある程度の量
準備しておく必要があります。
せっかく色を作っても、塗っている途中で無くなってしまうと、
また同じ配分で絵の具を混ぜて同じ色を作らないといけません。
これは結構難しいし、面倒です。
ですので、初めからちょっと多めに用意しておくのがポイント。

もし、本格的にこの塗り方で描いてみようと思ったら、
紙パレットでは足りないかもしれません。
その場合は、梅皿(プレート皿のようになっているパレット)や
絵の具皿を使うと便利です。
ラップをかけておけば、たくさん作った色も固まらずに使えますよ。

 

アクリル絵の具の塗り方〈油絵風〉

油絵風に関しては、やり方を2つ紹介します。
1つ目は、絵の具をそのまま塗る方法
2つ目は、絵の具にジェルメディウムを混ぜる方法

 

油絵風のキーワードは「水いらない」

さて、塗り方に入る前に、もうお分かりかとは思いますが
一旦ここで、混ぜる水の量とそれぞれの塗り方の相関図のようなものを置いておきます。

水彩風  →  べた塗り →  油絵風
水多め  →  水少なめ →  ほぼ水無し

アクリル絵の具は、水を混ぜなくても使えます。
ここまで水彩風、べた塗り、と紹介してきました。
水多め→水少なめ、と来ましたが、油絵風は、水をほぼ使いません。
 絵の具の比重が多くなると、ずっしり感、重厚感 が出てきます。
逆に、 絵の具よりも水が多くなると、軽やか、涼しげ、儚げ 、なんて印象が出てきますね。

では改めて、油絵風の塗り方に行きましょう。

 

絵の具をそのまま塗る方法

パレットに絵の具を出すところまでは同じ。
基本的にチューブから出してそのまま塗ってOK
それだけでも油彩のような重さは出せます。

もっと絵の具を盛り上げて、表面を凸凹させたいなら、
油絵用の硬い筆(豚毛とか)を使ったり、
ペインティングナイフで絵の具を乗せてみるのもいいですよ。

ザラザラしたり、デコボコした質感を作りたいなと思っている人は、
ペインティングナイフを1本持っておくといいと思います。
※ペインティングナイフについては、この後で詳しく紹介しますね。

メディウムを混ぜる方法

メディウム 絵の具の質感を調節してくれる画材 です。いろんな種類があります。
その中でも、絵の具を盛り上げたり厚塗りしたりするときによく使われるのが
ジェルメディウム

※メディウムについてはこちらにも詳しく書いてます。

【初心者向け】アクリル画に必要な道具6つを画家が解説!100均代用品も

絵の具とジェルメディウムをパレットに出して、筆やナイフで混ぜます。

これを絵の具に混ぜることで、盛り上げる表現がしやすくなります
メディウムを使うもう1つのメリットとして、乾燥後に絵の具が痩せるのを軽減してくれます
アクリル絵の具って、固まるときに水分が抜けるので体積がちょっと小さくなります。
ですので、塗った直後と、乾燥した後で、若干印象が変わる、なんてことがあります。
(厚塗りや盛り上げならとくに)

それを防ぐために、最初から絵の具の痩せを計算に入れて盛ったり、メディウムを混ぜる、
という方法をとる人が多いと思います。
自分は不器用なので製作中に計算とか出来ないので、メディウムを使っています…笑

左:そのまま筆で 右:メディウム混ぜてナイフで

 

アクリル絵の具を使う時に便利な補助道具

今回の解説で用意した、紙、筆、筆洗の他に用意しておくと、
普段の作業をスムーズにしてくれたり表現の幅をより広げてくれる道具を2つ紹介します。

ペインティングナイフ

左:リキテックス 右:油絵具セットについてたもの とても汚れていますが皆さんはこうならないでくださいね…笑

先ほどもちょっと触れましたね。
さまざまな材質、大きさ、形のものがありますが、基本的には鋼かステンレスが多いです。
プラスチック製のナイフもあります。
 おすすめのナイフは、刃の形が菱形で先が少し細くなっているもの 
これが1番よく使われる形だと思います。
パレットの上で絵の具を混ぜたり、そのまま画面に絵の具をのせて描くこともできます。
ちなみに、「ナイフ」という名前ですが、刃物ではありませんので物は切れません。

しかし、薄い金属であることには変わらないので、強く肌にぶつかったり押し付けたりすれば、
皮膚が切れてしまうこともあります。
使うときは注意してくださいね。

TADORU
昔、友人がペインティングナイフを使っている時、机にぶつかってしなった刃先が跳ね返って指を切ったことがあって、慌てました…。

 

水差し

私はダイソーの園芸用品として売ってたやつを使っています

私はこれをよく使います。
絵の具に水を混ぜる時に、きれいな筆に変えたり、一度洗ったりという手間が省けるので
とても助かっています。
水彩風、べた塗り、油絵風、どの塗り方でもあると便利な場面はあるなぁと思います。
よかったら使ってみてくださいね。

アクリル絵の具がムラになる原因と直し方

アクリル絵の具を使っていて、よくある悩みの1つが「ムラになる」です。
これは、透明色が多くて下の色がどうしても透けてしまうという特性上
仕方ないっちゃ仕方ないんですね…。
ここでは、ムラを作りやすい原因・いくつかの対処法を私なりにお伝えします。

まず初めに…なのですが、アクリル絵の具は「重ね塗りが基本」だと思ってください。
1度塗っただけだと、どうしてもムラになります。
重ねていくうちに、きれいな均一さが生まれます。
それを前提として読んでもらえると嬉しいです。

 

アクリル絵の具のムラの直し方

 交差するように塗る 

1度目を塗って乾かしたら、2度目は交差する方向に塗る。
ヨコ方向→タテ方向 のように塗ることで、凹凸を均します。
これを何回か繰り返します。

 塗った時にできる、絵の具の盛り上がりを、乾く前にすぐ均す。 

「ベタ塗り」「油絵風」で載せている画像を見て欲しいのですが、
筆の跡をたどっていくと、両脇だけ濃くなって少し盛り上がっているのがわかりますか?


これだけでもムラになるのを抑えてくれて、上から2度目を塗った時に目立ちにくくなります。

アクリル絵の具でムラが出やすくなる原因

 塗る面積に対して筆が合ってない 

例えば広い面積を塗るのに、小さい筆を使っていたり、丸筆を使っているとムラになりやすい。
平面→平筆、丸筆→細かいところや描き込み、にそれぞれ向いています。

 よく混ざっていない 

「ベタ塗り」のところで少し書きましたが、水と絵の具がしっかり混ざっていないと
これもやはりムラの原因になります。

 水の量が合っていない 

水分量は、体で覚えるのが1番早いと思っているのですが、
なんとなくの目安として、最初は調味料の中濃ソースぐらいの硬さを目指してみてください。
硬すぎず、ゆるすぎず、筆が動かしやすいところ。

どうしてもダメな時の対処法

 紙を「ケント紙」にしてみる 

もう画材を変えちゃう。ケント紙は表面に凹凸がなく、つるっとしているので
絵の具が溜まりづらく、筆が引っかからずに運べるので塗りやすくなります。

 ガッシュを使ってみる。 

画材を変えちゃうパート2。
私はデザイン分野出身で、ガッシュの方が使い慣れているため
ガッシュのフラットさを知っていると、どうしてもアクリル絵の具の
ムラが我慢できないんです…笑
アクリル絵の具で、絵の背景をベタ塗りしようとした時に、
ついついガッシュを使う時のように、「1度で、きれいに」塗ろうとして
 永遠に終わらないムラ修正のループに陥りました。
だから、広い面積を塗る時、特に1色で仕上げる時なんかはガッシュを使っちゃいます。

これはどちらも使っている私個人の考えですが、
絵の具の特性上、向き不向きはあると思っていて、本当にきれいなベタ塗りがしたいなら
ガッシュを使う手もありだと思います。
下の色を透過させて深みのあるベタ塗り(重ね)がしたいならアクリル絵の具で頑張る。
ただ、ガッシュとアクリル絵の具をうっかり混ぜないように気をつけてくださいね!

アクリルガッシュアクリル絵の具のちがいについてはこちらを読んでみてください↓

【初心者向け】アクリル画に必要な道具6つを画家が解説!100均代用品も

まとめ

  1. アクリル絵の具の特徴

    速乾性、表現の幅広さ、さまざな支持体に描ける、乾くと耐水性、耐久性がある

  2. 水彩風の塗り方
    キーワードは「水多め」。大胆に含ませよう。
  3. べた塗りの塗り方
    キーワードは「均一」。しっかり混ぜるとムラなく塗れます。
  4. 油絵風の塗り方
    キーワードは「水いらない」
    絵の具をそのまま筆やペインティングナイフで塗る。
    ジェルメディウムを混ぜると盛り上げたりタッチがつけやすくなります。
  5. 持っておくと便利な道具
    ・ペインティングナイフ
    ・水差し
  6. ムラ対策
    ・基本は重ね塗り。1度で完成はしない。
    ・適した筆は使えているか?
    ・水の量は適切か?
    ・どうしてもダメな時は画材を変えちゃうのも1つの手です。